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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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ガチャン

音をたてて受話器をとる。静寂。

「・・・もしもし?」

沈黙。何も聞こえてこない。だが、切るわけにはいかなかった。どこへも助けを求められなかった少女が、唯一、雪也にだけそれを求めている。答えたいと思う。何があっても。


『・・・でんわちょう、』

声を極限までひそめたような、そんな囁き声だった。冷たく、感情のない響き。背筋が瞬時に粟立つと同時に、通話は切れた。

(・・・電話帳って、)

受話器を戻した雪也は、積まれている電話帳に目を落とす。古いタウンページが重なっていた。厚い。

(あれ・・・これって鍵?)

ぱらぱらめくっていたページは、ある場所でとまった。鍵だ。赤い楕円のタグに、銀色のありふれた鍵がぶらさがっている。

「どうだった?」
「これがあったんだけど・・・」

電話ボックスを出て、瑞と伊吹に鍵を見せる。

「どこの鍵?」
「見たことあるな、こういうの。コインロッカーじゃないか、これって」

瑞が言う。手にとって赤いタグをまじまじと観察している。

「・・・ほら、これ。見にくいけど、マークが彫られてる。これは・・・市営地下鉄のマークだ」