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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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と、少女が再び受話器を持ち上げた。震える指先が、番号をプッシュする。

1・・・1・・・0・・・

(・・・警察!?)

しかしその刹那、少女は受話器を叩きつけるように戻すと、公衆電話を飛び出して自転車にまたがり駆け出した。泣いている。頬の冷たさに伊吹は戦慄する。

だめだった。
どうすればいいの。
だれにも助けてなんて言えない。

言葉にできない叫びが、伊吹の中に嵐のように吹き荒れる。悲痛な叫びだった。寒さと悲しさで、心の中がぐんぐん冷えて痛いくらいだ。少女は傷ついた心を抱えてマンションに帰り着く。エレベーターホールに入った瞬間、彼女の足が止まった。

(あ・・・)

エレベーターを待つ、誰かの後姿が見えた。少女が瞬時に「まずい」という焦りを抱いたことが、伊吹に伝わってくる。

「あれっ?」

エレベーターを待っていた人物が、こちらに気がついて振り返った。ブレザー姿の高校生。

(雪也くん!)

それは間違いなく雪也だった。バイトの帰りなのか、夜遊びなのかは知らないが、今まさに帰宅したという体である。少女には彼に見覚えがあった。時々こうしてエレベーターで会って、挨拶を交わしたことがある。名前は知らない。