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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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緑色の電話の受話器を手にすると、手提げからテレホンカードと小さなノートを取り出す。

(どこにかけるつもりなんだろう・・・)

少女が開いたノートには、たくさんの電話番号がメモされている。

おじさんの家  ×××-××××・・・
南先生のけいたい電話 ○○○-○○○○・・・
こども相談110番 △△△-△△△△・・・
市役所 □□□-□□□□・・・

十以上はある。個人の携帯電話番号だけでなく、公共機関や商店の番号など、様々だった。
少女は震える指先で、ボタンを押していく。メモの上から順番に電話をかける。
しかし呼び出し音が鳴り始めると同時に受話器を戻してしまうのだ。静かな公園に、テレホンカードが排出される電子音だけが響き渡っている。

(・・・できないんだ、怖いんだ)

伊吹には少女の感情が伝わってくる。
話したい。でも話しちゃだめ。知られては、だめ。
矛盾した感情の狭間で、少女は苦しんでいる。どうして、なぜ?伊吹はもどかしさと悔しさを募らせる。しかしどうするともできない。

やがてすべての番号を押し終えた少女は、疲れ切ったようにため息をついた。動かなくなる。

今日も、だめだった――

俯いた少女の、そんな感情が伝わってくる。そして伊吹は見た。少女の目線の先に、公衆電話の情報が書かれている。おそらくこの公衆電話の番号と、名前。

(昭和第三公園・・・!)

一瞬のことで番号までは覚えられなかったが、公園の名前を知ることができた。これが大きな手がかりになるはずだ。