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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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瑞と呼ばれた青年は、元気そうな老女の声に安心したのだろう、ほっとしたように息をつく。整った顔立ちをしていた。雪也と同じくらいの年だろうか。随分落ち着いているというのか、所作や言葉遣いが大人びていて、外見とはちぐはぐで不思議な感じがした。

「瑞、どうやってここまで?」
「トモヒロのオジイに車出してもらった。穂積(ほづみ)も京都でいないし。伊吹も心配してるから、帰ろう」

そう言うと瑞は佐里に手を差し出す。彼女はそれを握って静かに立ち上がる。自然で、美しく洗練された動作だった。老女と若者、という不思議な組み合わせなのに、対等に見える。見とれていた雪也のほうを向いて、瑞が頭を下げる。

「ありがとう、助かりました。オレオレ詐欺と疑ってすまなかった」
「いや、いいんです」

思わず敬語になってしまう雪也だった。

「あのさ・・・余計なお世話だったらごめんなんだけど、」

瑞がまっすぐにこちらを見つめながら、言う。水面のように静かな瞳。吸い込まれそうになる。

「女の子、何か言いたそうにしているけど・・・身に覚えがあるなら助けてあげたほうがいい」

ぎくりとした。全身の毛穴が開いたかのような感覚。

「じゃあ、ありがとう」

去っていこうとする青年を、雪也は藁にもすがる思い出呼び止める。