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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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『今からそちらに向かいますので、しばらくそばにいていただいてもいいですか?』
「あ、はい勿論。待ってますから・・・」

通話を終え、老婆の隣に腰かける。

「横になる?」
「大丈夫ですよ。本当にありがとう」
「一緒に待ってるから」
「申し訳ないわねえ。助かります」

穏やかな老女の声は心地よくて、久しぶりに雪也を安心させてくれた。おばあちゃん子だったからかもしれない。不真面目でちゃらけた高校生になっても、高齢者の話には自然と聞き入ってしまう。

「でも学生さん、お急ぎじゃないの?」
「家に帰る途中だから、気にしなくていーよ。暇なんだ俺。さっきの電話、お孫さん?」
「孫ではないのだけれど、家族なの」

話しているうちに、徐々に老女の顔に色味がさしてきた。よかった、よくなってきたのだろう。彼女は電車を降りてから、気分が悪くなってここに座り込んでいたのだという。

「佐里(さり)」

20分ほど、取り留めのない話をしただろうか。何本か電車を見送った後ホームに、その青年は現れた。すでに日は傾いている。ホームの薄暗い明かりに浮かぶ、ミルクティー色のふわふわとした髪。すらりと長い足をジーンズに包んでいる。

「ああ瑞。面倒をかけてしまってごめんなさいね」
「大丈夫なの?病院行く?」
「平気ですよ。この学生さんと話しているうちに落ち着いたし、家に帰れば薬もあるから」
「ならいい。無理をするからだ。俺が行くと言ったのに」
「瑞にばかり使いを頼むのは悪いでしょう。いいのよ、わたしも出歩かないとね」