窓のむこうは 神末家綺談7
「俺さあ伊吹、幽霊とか前世とか、そういうの全く信じてなかったんだけど・・・今なら、見えない不思議な力ってあるのかなと思う」
「・・・雪也くん」
「うん?」
「瑞と俺もね、そうなんだ。信じられないかもしれないけど」
「どういうこと?」
「ずーっと一緒には、いられないんだ」
寂しそうな横顔が笑っている。
「たぶんもうすぐ、お別れ。それで、二度と会えなくなる」
「・・・なんで?」
家族なんだろう?
「うーん。一言で言うなら、それが俺への罰だから」
罰?こんな幼い少年が、どれだけの罪を背負っているというのか。半ば冗談だろうと笑おうとしたが、伊吹の横顔は真剣だった。
「出会ったのも別れいくのも必然。それは俺が生まれる前から決まってたことで、自分の力じゃどうにもできないこと。信じる?こんな話」
信じるも何も、全く話が見えない。わけがわからない。どう反応していいかも。
だが、伊吹の横顔は今にも大切なものを失おうとしている人間のそれだった。寂しく笑うことで、その喪失を少しでも先延ばしにしようとしているような。
作品名:窓のむこうは 神末家綺談7 作家名:ひなた眞白