窓のむこうは 神末家綺談7
「・・・ごめん、忘れて。あ、瑞戻ってきた」
瑞が小学生に手を振って帰ってくる。
「ビンゴだった。あの子ら、小金井さんと同じクラス」
なんて言ってた、と待ちきれないふうに伊吹が尋ねる。
「学校には殆ど来てなかったそうだ。担任も頭抱えてたみたい。児童相談所の職員が尋ねたこともあって、要チェックな家庭だったって」
「・・・育児放棄的な?」
「そこまではどうかな。でも学校に来れば真面目な子だったそうだよ。ただ、あまり積極的に他人と関わろうとしなくて孤立してたそうだ。いじめなんかはなかったけど、周囲には馴染めなかったのだろう。あの小学生軍団いはく《あの子のことはよくわかんない》だそうだ」
雪也はずしりと胸の痛みを感じた。
学校では孤独だった。家庭では・・・?母の恋人、幼い弟。
彼女を取り巻いていた環境は、彼女にとって決して優しいものではなかったのだろう。
「・・・何があった?」
見えない少女に、雪也は語りかけてみる。答えは返らない。雪也が見つけるしかないのだ。
作品名:窓のむこうは 神末家綺談7 作家名:ひなた眞白