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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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だるいな、とぼんやり思う。教室のざわめいた空気も、晴れ渡った秋空も。
スマホの画面を呼び出しても、ゲームをする気も何も起きない。

「雪也(ゆきや)、このあと暇ならカラオケ行かん?三咲女子の子ら誘ってんだー」

友人の誘い。カラオケ?女子のお嬢さんと?そんな気になれない。いろんなことが、どうでもよく思えてしまう。この無気力さは、ちょっと自分でもやばいなと思う。しかし、やばいと意識できているうちは大丈夫なのだということもわかっている。

「パス。帰るから」
「ンだよー付き合い悪ィな。部活にも顔出してねんだから、遊ぼうぜー」
「また今度」
「おまえ最近おかしくねえか」
「バイバイ」

スクールバッグを引っ掛けて、教室を出た。友人の不満そうな声が背中をつつくようについて来るが無視した。
放課後のグラウンドを尻目に歩く。もう部活に出なくなって二週間になる。行かないと、という気分はもう失せた。

駅の改札を抜けてホームに向かう。田舎の小さな駅、まだ五時前だ。利用客は殆どいない。秋の夕暮れは寂しく、世界に一人ぼっちでいるような気持ちがして、雪也の心は重く沈む。

「・・・おばーちゃん?どーしたの?」

ホームにある古ぼけたベンチの座っている老人が、ぐったりと身体を折り曲げているのが見えた。雪也は思わず駆け寄る。