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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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屋上を目指しているらしい。小雨が霧のように降る中を、屋上まで上りきる。規制線が張られているのを乗り越えて、広い屋上に出た。

「こんな景色だったのか。最期に見た景色・・・」

花や菓子が備えられている一角に瑞は立ち、小さく呟いた。横に並んだ雪也は、そこから見える景色に息を呑む。地上10階建て。街を見渡し、霧のかかった遠くの山、流れる川まで一望できる。高い。見下ろせば目がくらむコンクリート。少女はあそこに叩きつけられて死んだのだ・・・。

「・・・大丈夫か?」

とても立っていられない。うずくまった雪也に瑞の気遣いが降る。

「怖かっただろうな・・・」

自分よりも小さな女の子がこのふちに立ち、体を躍らせた。その心中を察することなど、雪也にはできなかった。だけど、それがどれほど重いことかは、想像できる。命を絶つほどに追い詰められた悲しみが深かったことは、理解してやれる。

「助けるよ、俺・・・」

死の直前、少女が最期に見たのが雪也なのだ。ならば、託された思いがあるのなら、自分になら何とかしてやれるかもしれない。伊吹に言われた言葉が蘇り、雪也の心に小さく勇気を灯す。

「何とかしてやりたいよ。この子が俺を頼ってくれているなら」



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