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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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しんみりと続く会話を尻目に、瑞は何か考え込んでいる
幼い弟。母親には若い恋人がいた・・・。

(不穏だな・・・)

それだけで彼女を取り巻く家庭環境が、決して満たされたものではなかったということが、雪也には想像できてしまった。
やがて顔を上げた瑞が切り出す。

「奥さんと弟さんは、戻ってこられるでしょうか」
「どうかしらねえ。若い恋人がいるなら戻るでしょうけど・・・」
「お葬式も実家のほうで出しちゃってるから、わかんないわよね。もともとご近所づきあいも消極的な家庭だったから、奥さん、ホールで会っても挨拶さえなしだったもの」

そうですか、と頷くと、瑞は静かに頭を下げた。

「話し込んでしまいました。お邪魔をして申し訳ありません。ありがとうございました」
「ヤダいいのよお」
「奥さん、戻られるといいわね」
「何でも聴いて頂戴ね、わたしたちにわかることならお答えするから」
「では、いずれまた」

キラースマイルを残し、瑞が戻ってくる。きゃあ見た、いい男ね、と騒ぎたてる主婦を背に、冷めた表情で堂々と歩いてくる姿は、同じ男として眩しいくらいだ。

「すげーな、おまえ。手玉に取りやがった」
「おばちゃんて嫌いじゃないな。素直でかわいいだろ」
「・・・・・・いや、俺にはわかんねえ、その感覚」

瑞に促されて、マンションの裏手から非常階段を登る。雪也の前を歩きながら、瑞が尋ねてくる。

「母子家庭、ご近所とのつきあい皆無、母親の若い恋人、まだ小さい弟。色んなことが想像できるよな」
「・・・・・・下の子と男にかかりっきりな母親、孤独を感じて自殺・・・とか?」
「憶測ならいくらでもできそうな環境」