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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 神末家綺談7

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「・・・・・・夢、」

起き上がった見覚えのない場所に一瞬戸惑う。和室だ。いぐさの匂い。清潔なシーツ。そうだ、神末家だ。昨夜泊めてもらって・・・。

(あんな公園見たことないけど・・・)

白く霞んだ、打ち捨てられた公園。電話の鳴る音。夢をゆっくり反芻していく。

「雪也くん、おはよう」
「あ、伊吹」
「俺、さき学校行くからね。朝ごはん、食べてね!」
「ああ。うん」

縁側を見やると、今朝はどうやら雨模様だ。小雨の降る肌寒い朝。

「じゃー行ってきます」
「ん」

学校へ向かう伊吹を見送る。入れ違いに瑞が入ってきた。こいつは学校へは行かないのだろうか。私服姿だった。派手な黄色のティーシャツに、迷彩柄のカーゴパンツという今から遊びに行きますスタイルである。

「おまえはいいの、学校。早く支度しろ」
「瑞こそ。学生だろ」
「俺はチガウ。さぼりはよくないぞお」

しかし学校へ行っている場合ではないのだ。少女を助けるという目的ができたいま、漫然と過ごしていても前へは進めない。

「その事件について俺詳しく知らないんだけど」

味噌汁をすすりながら瑞が言う。なんというか、優しい味の味噌汁だった。夢見の悪さからきていた緊張を、そっとほどいていくような口当たり。おいしい、と素直に思った。

「・・・小学生が飛び降り、事件性なし、自殺と断定。それで片付けられてたよ」

素っ気無い新聞記事だったが、雪也にとってはそれだけではすまなかった。少女の瞳がちらついて、恐ろしくて新聞を捨ててしまったことを覚えている。

「どうして死んだのか。それをまず突き止めてやらないとだめだろうな」
「自殺の原因ってこと?」
「ソウ。強い思いを残して死んでる。その思いをわかってやれれば、どうにかなるかもな」

聞き込みに行くぞ、と瑞が言った。