窓のむこうは 神末家綺談7
小学六年生。その年で自ら命を絶つなんて。どんな理由があったにせよ、やるせない。気の毒だと思う。だけどそれ以上に恐ろしい。あれからずっと、ろくに眠れない。
「口が聞けないみたいだ。だけど一心にお前を見つめてる。何か言いたいのだろう。血縁でもなければ、友だちでもない。接点は、死の直前の一瞬の邂逅。だけど、それで繋がってしまったんだろう」
瑞が言う。
「強い思いを残して死んでいるようだ。最期に目が合ったコイツに、その思いを託したとでもいうのか?」
後半は、少女に語りかけるような口調だった。
「・・・・・・だめだ、俺には何も言わない。おまえが自力で解決してやるしかないみたいだな」
「・・・まじかよ」
「手伝うくらいはしてやる。なあ伊吹」
振り返ると戸口に、茶を載せた盆を手にしていた伊吹が立っていた。
「うん。その子を助けてあげようよ」
「・・・俺にそんなことできるのかな」
作品名:窓のむこうは 神末家綺談7 作家名:ひなた眞白