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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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ねがいがかなうまで

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紫暮も知ったのだろう。そして、どうしてよいかわからないのだ。己の感情をコントロールできず、伊吹を慰める言葉も見つからないのだと瑞は思う。

そうして電車に揺られ、須丸の屋敷に着いたのだった。

「お役目様、お呼び立てしてしまい、申し訳ございません」

玄関先で、紫暮が深々と頭を下げる。

「詫びるのはこちらの方だ。すべてをきみに任せてしまい、すまなかった」
「そんな・・・」
「伊吹はどうしているね。まだ落ちこんでいるかい」
「それが・・・今朝目が覚めてからは・・・」

紫暮の返事も聞かずに、瑞は靴を脱ぎ散らかして玄関に上がる。

「おいぼれた政治家かおまえらは。何を悠長に話している」

こちらは伊吹の悲痛な叫びを聞いていたのだ。すぐにでも顔を見て、安心したかった。

「きゃあ!」

すっぱーんと音をたてて奥の間の襖を開くと、絢世と伊吹が向かい合って昼ごはんを食べているところだった。

「びっくりするじゃないですかあ!」
「おー瑞、久しぶり」

驚く絢世とは対照的に、伊吹は拍子抜けするくらい間抜けな笑顔で瑞を迎えた。

作品名:ねがいがかなうまで 作家名:ひなた眞白