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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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月に吼えるもの 神末家綺談6

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「・・・・・・」

こんなことが、許されるのか。
こんなことが。

天が正義と慈悲で持って天下泰平を治めているなど嘘だ。
なぜ自分は、こんな最期を迎えなければならない。

怒りが、指の先まで行き渡っていくのがわかった。途切れる意識を必死で繋ぐ。

「食ろうてよいぞ。飢えておるのだろ?」

父の声が遠く聞こえた。飢えていた衛士と村人に向けられたものだ。彼らは這いつくばるように少年のそばに屈みこむと、その血肉を貪った。


「終わったら遺体を池に投げ込め。それで仕舞いだ」


生きながらにその身を食われながら、少年は自らの頭上に煌々と輝く月を見ていた。命果てるその瞬間まで。