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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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月に吼えるもの 神末家綺談6

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「生きたいのです、父上・・・」

櫛を握りしめる。こんなところで朽ち果てたくない。こんなところで・・・。

「っ・・・・・・!!」

腕に、灼熱の痛みを感じる。矢が突き刺さっている。血が流れ出る。少年は膝をついて震えた。

痛い。
殺される。
このままでは、死ぬ。


このままでは、しぬ!


「いや、だ・・・!」

慟哭する少年の手足を、容赦なく矢が貫いた。

「死にたく・・・ない・・・!」

みずはめ。会いたい。おまえと生きたい。
今度こそ、幸福が。今度こそ、今度こそ。

行く先には、ようやく、幸福が・・・。

「いやだ・・・!!」

背中から、一気に貫かれ、少年は倒れた。身体が動かない。涙が後から後から零れていく、その感覚だけが、かろうじて生きていることを伝える。