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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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帰れない森 神末家綺談5

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「このところ、夢を見るんです」
「夢?」
「毎日のように見ます。夜の森の夢・・・そこで瑞に会う」

夢を見るようになったのはいつからだろう。
大きな満月が浮かぶ森。伊吹はその奥を目指すのだが、怖くて足が竦む。すると後ろから、白装束の瑞に呼び止められるのだ。

いってはいけない、と。

瑞の姿は白い装束。長い黒髪。そして、枯れたように痩せた身体。亡霊のように夜の中に佇んでいる・・・。

「繰り返し見るということは、きっと意味があるのだろうね」
「そう・・・でしょうか」
「血の契約によって結びついている二人だからこそだ。何か、変化の兆しかもしれないね」

変化の、兆し・・・。

「そういう夢は得てして、夜毎進んでいくよ」
「進んでいく・・・?」
「続きがあるはずだ。その夢には」

紫暮はそれだけ言うと、考え込むように黙り込んだ。

夢に意味などあるのだろうかと、以前の伊吹なら言ったかもしれない。だが、瑞が出てくるのだ。見たこともない風貌で、痩せこけて、警告を発している。それが無意味なものだとは、やはり思えない。