小雪日記
駅で別れてから 2週間が過ぎた頃
僕は決心をして も一度 彼女の自宅の近くの駅で待った
電話をしても連絡が取れなかったからだ
もう駄目かもしれないけど 僕はまだ彼女が好きだった
いつもの会社帰りの時間 午後7時頃の駅の出口で
僕は 小雪が舞う寒い中 また 待った
黒い重たい夜の空からは 白い雪が静かに落ちて来ていた
踏切の警報が鳴るとゆっくりと 鈍行列車が駅に着きホームに止まる
彼女が乗ってると思われる電車を 僕は待った
彼女は少ない人混みの中から 現れるはずだった
しかし
その日は午後9時を過ぎても降りてこなかった
僕は彼女の自宅に 駅の公衆電話から連絡を取った
彼女の母親が受話器を取ると「まだ帰宅してない」の返事だった
僕は最終電車まで待った
小雪はボタン雪となり あたり一面真っ白になった
警報機が鳴り響くと 信号灯はいつも規則正しく 白と赤の交互に点滅した
会ったらこう言おうとか あれこれ考えたが
3時間も過ぎると 会いたい気持ちだけで
言いたい事は忘れ 頭の中は真っ白になってしまっていた
会いたい 会いたい 会いたい・・・