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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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小雪日記

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駅で別れてから 2週間が過ぎた頃

僕は決心をして も一度 彼女の自宅の近くの駅で待った

電話をしても連絡が取れなかったからだ

もう駄目かもしれないけど 僕はまだ彼女が好きだった

いつもの会社帰りの時間 午後7時頃の駅の出口で

僕は 小雪が舞う寒い中 また 待った

黒い重たい夜の空からは 白い雪が静かに落ちて来ていた

踏切の警報が鳴るとゆっくりと 鈍行列車が駅に着きホームに止まる

彼女が乗ってると思われる電車を 僕は待った

彼女は少ない人混みの中から 現れるはずだった

しかし

その日は午後9時を過ぎても降りてこなかった



僕は彼女の自宅に 駅の公衆電話から連絡を取った

彼女の母親が受話器を取ると「まだ帰宅してない」の返事だった



僕は最終電車まで待った

小雪はボタン雪となり あたり一面真っ白になった

警報機が鳴り響くと 信号灯はいつも規則正しく 白と赤の交互に点滅した 

会ったらこう言おうとか あれこれ考えたが

3時間も過ぎると 会いたい気持ちだけで

言いたい事は忘れ 頭の中は真っ白になってしまっていた

会いたい 会いたい 会いたい・・・

作品名:小雪日記 作家名:海野ごはん