小雪日記
随分待ったけど 彼女が電車から降りて来る事はなかった
僕は自分の最終電車で帰ることにした
あと10分しか待てない
彼女の自宅の方角を見る
人通りの少ない通りの向こうから 傘をさして歩いてくる彼女が見えた
僕は走り駆け寄った
彼女は瞳に涙を溜めていた もうすぐにでも泣きだしそうな顔だった
そして
「ごめん。。。まだ待ってたの?」と聞いてきた
「うん。。。」
「実は電車の窓からあなたが見えたから この駅で降りなくて 次の駅で降りて家に帰ったの。。。」
「。。。。。」
「こんなに待っててくれるなんて ありがとう。。。」
「俺。。。今でも好きだから。。。も一度・・・」
「私もよ。。。私も悪かったわ。。。許してくれる?」
「俺が悪かったんだ。。。ごめん。。。」
彼女は僕に傘をさした
僕の肩には白い雪が積もってた
それから彼女は僕の冷たい唇に 暖かい唇のキスをくれた・・・
僕が帰る電車がホームに入ってきた
時間もなく 僕は彼女に見送られ
最終電車に乗った
曇りガラスの向こうの改札口で
彼女が小さく手を振っていた
赤い警報機が鳴りだし ゆっくり電車は動き始めた
白い雪の中を。。。。