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海野ごはん
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novelistID. 29750
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ラブ・アゲイン

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「久しぶり、どうしてる、元気? 体の調子はどう?ちょっと気が向いてメールした」

彼女は糖尿病を患っていて、交際中会うたびインシュリンの注射を打っていた。そして、「私、ヤク中なの」と言って笑いながら、こっそりブラウスをめくり腹部に注射を打っていた。康夫は健康体だからなのか、そんな彼女の苦労がわからず心配もしてなかったが、ある晩、低血糖で苦しみだした時には驚いた。そんなこともあり敏恵イコール糖尿病というイメージが康夫の頭にこびりついていた。
返事はすぐに返ってこなかったが、その夜遅く、康夫の携帯を震わせた。

「はーい、お久しぶり。元気だよ。一人暮らしは慣れた?私はゴルフにはまってるよ。てか、彼女は出来た?」

康夫は敏恵のメールに心躍らせた。

「いや~返ってくるとは思わなかった。うれしい。ゴルフやってるの?楽しいもんね。まあ、彼氏から教わってるのはミエミエだけど・・。僕なんか出来ちゃフラれるのパターンで相変わらずさ。懐かしいね~。体の調子はどう?元気ならいいけど。そういや結婚した?」

「ちゃんとレッスン場で習ってるのよ。自分でもびっくりするくらい真面目。結婚はしてないよ」

「元気でよかった。ゴルフは健康的だしがんばりな」

康夫のそのメールを最後に、その夜は敏恵からのメールはなかった。
すでに終わった恋愛だが、心に残る恋愛というのがある。ずっと記憶の奥底に沈めていた、成仏してそうでしてない恋愛。時々なんかの拍子で顔を出してくるのだが強制的に自分で沈めてしまう。浮上して再会と成れば、きっとまた燃えてしまう気がする恋愛の種類だからだ。
会いたいけど、会わない方がいいと自分で決めているのに、水中を漂うくらげのように時々海面に顔を出してくる。敏恵は康夫にとって特別な恋愛の相手だった。


作品名:ラブ・アゲイン 作家名:海野ごはん