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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 続・神末家綺談4

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「あの顔みても、おまえは後悔などと言うのか?」

伊吹に問うてやる。黙って首を振る伊吹の顔に、もう悲壮感はなかった。

「行こう、バス来るぞ」
「うん。瑞、いってきます」
「気をつけてな」

瑞は、並んで駆け出す二人を見送る。ぐんぐん小さくなる背中を見て思う。
朋尋は、もう大丈夫だろう。隣に伊吹がいるのだから。

「わたしがいぬまに、いろいろあったみたいだね」

声をかけられ振り向けば、穂積が立っている。柔らかな表情を浮かべて。

「なんだ、おまえ戻っていたのか」
「昨夜遅くにね。どうしたね瑞、寂しそうな背中を晒して」

そんなつもりはない、と否定しようとして、寂しいと感じている自分に気づく。まったく穂積にはかなわない。見透かされている。正直な思いを伝えてみようか。

「伊吹と、あんなふうに出会いたかったな。生きてみたかった」

友人として出会っていたら、どうだっただろう。朋尋の隣にいる伊吹を見て、そんな想像を巡らせたのだ。

「同じ時代を、同じものを見て・・・生きてみたかった・・・」

ああ、寂しいのだ。穂積の言うとおり、寂しい。友だちとして、あるいは家族として出会っていれば。人間として。生きている人間として。

「そうやって生きる道はあるのに、おまえはそれでも、願いを叶えてほしいか?」

穂積に問われ、思わず睨みつける。忘れかけていた本性に火がついたような感覚。