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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 続・神末家綺談4

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伊吹の視線がまっすぐに瑞の瞳に飛び込んでくる。秋に染まりつつある山から吹く風が、慰めるように伊吹の髪を揺らすのが見えた。

「・・・伊吹は、おまえはもっと」

視線をそらして、瑞は続ける。

「もっともっと、傲慢でいい」

あまりに無垢だ。あまりに繊細だ。容易く他人のために傷つく。こんなふうにして。

「もっとわがままでいいし、自分本位でいい」
「・・・瑞、」
「心配だよ、俺は。周りの期待に応えようと必死なおまえが。穂積も、清香も、朋尋も、もっとおまえが振り回してやればいいンだ。あの馬鹿紫暮(しぐれ)なンか、アゴでこきつかってぼろ雑巾にしてやりゃいい。いい子チャンでいるな。ただでさえ重圧のある役目を継ごうというのだから。もっと偉そうにしていろよ」

弱気なのが悪いというのではないし、かといって傲慢なのがよいというわけでもない。しかしあまりにバランスが悪い。伊吹は他人に気を遣いすぎる。

「だって・・・わがまま言ったら嫌われる・・・」
「誰にだよ。そんなやつは俺が殴っ・・・」
「・・・瑞に」

伊吹からの返答に思わず咳き込んだ。あまりの不意打ちに、思わず口元を手で覆う。

「誰が俺の話を・・・」
「瑞に失望されたくない、瑞に嫌われたくない」

穂積でも、須丸の連中でもなく?