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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 神末家綺談4

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(すごく・・・古い本。あいつ読書なんてしないくせに・・・この本が、耳鳴りの原因?)

表紙をめくると、難しい漢字のスタンプが押されている。寄贈・・・?裏表紙をめくると、そこには見慣れたものがある。

「・・・貸し出しカードだ」

小さなポケットが貼り付けられており、そこにカードが入っている。伊吹らも学校で、このカードを利用して本を借りる。図書室の本にはすべて貸し出しカードが付属されており、その本を借りるものの名前や貸し出した日付などを記入し、カードを抜き取って図書室に保管するのだ。誰が何の本を借りているのか、管理するのに役立つというわけだ。

「・・・朋尋じゃない、」

伊吹らの小学校の印もないし、貸し出しカードに書かれているのは朋尋の名前ではなかった。朋尋は一体どこでこの本を・・・。

(・・・かすれて読みにくい、)

貸し出しカードに書かれているのはただ一人だけの名前だった。

――その名前に指先で触れたとき。

「!!」

ぐん、と指先が引っ張られる感覚が走ったかと思うと、世界が反転した。あっと思う間もなく、伊吹は闇に落ちていく。