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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 神末家綺談4

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放課後のチャイムが鳴る。一斉に駆け出す級友の波に逆らい、神末伊吹(こうずえいぶき)は教室後方でランドセルを背負っている朋尋(ともひろ)のもとへ向かう。

「朋尋、グランド行こう。今日はみんなでサッカーするんだ」

保育園からずっと一緒の親友、朋尋。同じ村に住む幼馴染で、バスで一緒に町の学校に通う唯一の友だちだ。村の人間だから、伊吹の家の家業についても知っているし、一緒に怖い体験なんかもしてきた親友だった。

「ごめん伊吹。俺、委員会あるから」
「・・・今日も?最近ずっと、ぜんぜん一緒に遊べないじゃん」

ごめんな、と朋尋がいつもみたいに少し困ったように笑ってみせる。

「ちょっといま、忙しくて。また明日な伊吹!」

去っていく親友を見送ってため息をつく。何だろう、こんなふうにすれ違うのって初めてだ。

「なに、あいつまた委員会?」
「あ、マコト・・・」
「図書委員に決まったときには、あんなにヤダヤダ言ってたくせに。最近やけに熱心なー」

そうなのだ。二学期の委員会が決まってから、朋尋が急に忙しくなってしまった。夏休みに一緒に遊びまくったせいもあり、伊吹は寂しくて仕方がないのだった。
朋尋が図書委員になったのは、ジャンケンに負けたからだった。運動神経抜群の朋尋は一学期は体育委員で、二学期もそれを望んでいた。図書室が似合わない彼がジャンケンで負けて図書委員になり、ダルイ、メンドクサイと愚痴っていたのに、いまでは伊吹らとの約束よりも、委員会活動に掛かりっきりなのだ。

「なにがそんなに忙しいのかねえ、図書委員って」

マコトが言う。

「なんか、古い本を廃棄するから分別してるんだって・・・」
「へえ。まあいいじゃん、みんな待ってるしサッカー行こうぜ伊吹」
「うん・・・」

寂しさのような苛立ちのような、受け入れられない感情を抱えたまま、伊吹は教室を出る。



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