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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 神末家綺談4

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辿る記憶



朝、目を覚まして居間へ行くと、朝食の席に瑞がいなかった。ちなみに穂積は先週から仕事で東北へ行っており不在だ。

「ばあちゃん、瑞は?」

味噌汁を運んできた佐里に尋ねると、隣町まで使い物を頼んだのだと言う。

「隣町の坂江さんに用事があって。ばあちゃん行こうとしたんだけど、あの子俺が行くってきかなくて」
「・・・あいつらしいね」

足の悪い佐里を一人電車に乗せることを心配したのだろう。瑞はあんなだけど、家族に優しいのだ。

「病院に寄って薬ももらってきてもらうし、銀行にも・・・だから戻るのは夕方かねえ」

佐里は穏やかに笑うと、綺麗に折りたたまれたノートの切れ端を伊吹に差し出した。

「これ、瑞があなたに渡してって」
「俺に?」

伊吹へ、と顔に似合わず美しい字が書かれている。開いてみると、手紙だった。昨夜の、学校でのやりとりを思い出す。

<学校終わったらすぐに朋尋のところに行け。図書室に一人で行くなよ>

(そうだ、話を聞きに行かないと・・・)

朋尋はちゃんと休んでいるだろうか。夜もろくに眠れていない様子を思い出す。いつもの彼が、一日も早く戻ってくるように、伊吹が頑張らなくては。