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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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花は流れて 神末家綺談4

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小学校に到着すると、瑞は自転車を乱暴に停めて、伊吹に玄関の場所を尋ねた。

「こっちだよ、ここ。あ、坂本先生」
「あら、神末くん?」

帰宅しようとしていたらしい若い女性教諭に出くわしてしまった。こんな時間に学校をうろついていれば叱られるかもしれないと、伊吹が身を堅くしたそのとき。

「いつもお世話になっています、4年2組の神末伊吹の家のものですが」

ぎょっとする。瑞が突然、紳士的な態度で坂本先生に話し始めた。こんな丁寧にしゃべる瑞を見るのは初めてだ。ティーシャツにジーパン、ビーチサンダル、ミルクティー色のふわふわとした髪。身なりは軽薄な高校生だというのに、顔がいいから敬語が完璧だからか、坂本先生は瑞に見とれて立ち尽くしている。

「伊吹が忘れ物をしたというのでとりにきました。入らせていただいてよろしいでしょうか」
「え、ええ・・・どうぞどうぞ」
「ありがとうございます。先生、遅くまでお忙しいのですね。お気をつけて」
「は、はいっ!」

真っ赤になって立ち尽くす坂本先生にペコリとお辞儀をして、伊吹は瑞を引っ張る。

「こっちだよ、図書室。てゆーか最後のウィンクいらなくない?」
「ひがむなよ~」
「ふざけてる場合じゃないってば」

図書室の鍵はまだ開いていた。そっと中へ踏み入ると、黄昏にのまれて薄暗い。奥の書庫へ瑞を導く。