花は流れて 神末家綺談4
伊吹は朋尋を家に送り届けた。応対してくれた朋尋の祖父に、具合が悪いから明日は絶対学校を休むようにときつく言いつけた。
「休んだほうがええて、何で?」
「朋尋、ずっと変なんだ。夏ばてだよ、夏ばて。絶対学校来ちゃだめだよ。今日だってふらふらだったんだ」
「伊吹が言うなら、そうするかの。トモ、ゆっくり休め。な?友だちの忠告は聞くもんだ」
「・・・わかった」
絶対だよ、と念を押し、伊吹は家路を急いだ。とにかく朋尋を学校から、あの文通相手から遠ざけなければ。石段を駆け上がった伊吹は自宅の居間に直行した。
「瑞!」
「何だ慌てて。帰ってきたら手洗いうがい!」
「朋尋が大変なんだ。どうしたらいい?」
尋常でない伊吹の様子を訝り、寝そべっていた瑞が起き上がる。
「話せ」
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作品名:花は流れて 神末家綺談4 作家名:ひなた眞白