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後宮艶夜*ロマンス~皇帝と貴妃~【前編】

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 愕いて身を起こそうとする芳華を法明は上から体重をかけて抑え込む。
「法明」
 咎めるような声に、法明がその美しい面に見たことがないほどの艶っぽい微笑を刻む。
「少し黙って大人しくしてろ」
 言われるまでもなく、直に芳華は言葉を発するどころか、まともに物を考えることすら難しくなった。法明が彼女の乳房を烈しく吸い始めたからだ。彼は右の乳房に吸いつきながら、左の乳房は優しく揉み込む。
 肉厚の舌がいとけない乳首を弾いて転がし叩いていく。それを延々と繰り返されている中に、芳華は次第に頭の芯がジンと痺れたようになっていった。だから、法明の指先が今度は下腹部に向かっていることも全然気づかない。
「―あっ」
 下半身に違和感を感じた芳華が小さな声を上げ、ピクンと身体を揺らした。
「法明、指挿れないで」
 一旦は引いた涙がまた盛り上がる。今、法明の指が芳華の蜜壺に一本だけ挿入されている。自分でさえ、見たことがない秘められた大切な場所を今、彼の手によって暴かれている。
 しかし、法明は彼女の言葉など耳に入らないかのように、蜜壺に侵入する指は直に一本から二本、三本と増やされた。
「痛い、痛いよ」
 狭い隘路を三本の指でひっきりなしにかき回され、これまで感じたことのない痛みが下半身に走る。法明は極上の笑みを見せながら、芳華を上から覗き込んだ。
「芳華、よく感じてみるんだ。本当にただ痛いだけか? 気持ち良くはないか?」
 芳華は言われるままに下半身に意識を集中してみる。確かに指を抜き差しされる度に、痛みだけでなく何か別の感覚を感じるような気もする。だが、その感覚の正体を理解することはできず、また、今はまだ痛みの方がはるかに大きく、そのかすかな感覚を拾うのは難しい。
 上から覆い被さった法明の額にうっすらと汗が滲んでいる。紫水晶のように輝く双眸とあいまって、何とも妖しい凄艶ささえ漂わせた美貌だ。こんな綺麗な男が何故、芳華を好きだと言い、これほどまでに一途に求めてくれるのだろう。
 芳華は法明の美麗な顔に見惚れていて、彼の滾り切った欲望の徴(しるし)が蜜壺の入り口に押し当てられたのも気づかなかった。次の瞬間、恐怖の瞬間が突然、彼女を襲った。
「―!! い、痛いっ」
 芳華は泣き叫び、法明の身体を無意識に押し返そうとする。
「法明、痛いっ、痛い」
「芳華、少しだけ我慢するんだ、すぐに良くなるから」
 法明は芳華の艶やかな髪をそっと手で梳いた。
「まだほんの少ししか挿っていないけど、もう俺は引き返せない。祝言も挙げたことだし、俺はお前のすべてが欲しいんだ。頼むから泣かないで、俺を受け容れてくれ」
「でも、でも」
 身体を真っ二つに引き裂かれる痛みに今や芳華はすっかり怯えていた。芳華は泣きながら哀願した。
「お願い、止めて、許して。怖いし痛い」
「悪いが、もう止められない。許してくれ」
 法明が何かに堪えるような表情で呟くと、動きを再開した。しばらくは芳華の様子を窺うようにゆっくりと腰を動かしていたが、やがて途中からは一挙に最奥まで彼自身で刺し貫いた。
「―うぅ」
 芳華はあまりの想像を絶する痛みに絶叫し、法明に助けを求めるように縋り付いた。大粒の涙が後から後から溢れ、白い頬をつたう。
「ごめんな。そんなに痛かったか?」
 芳華は頷き、法明の胸に身を預けて泣いた。
「動くけど、我慢してくれ」
 やがて、法明が逞しい身体をゆっくりと動かし始め、芳華を貫いた彼の欲望の象徴が芳華の狭い膣道を行ったり来たりする。最初は痛みしかなかったのに、不思議なことに、次第に痛みよりも別の感覚―先刻、ほんの少しだけ感じた感覚が増していった。
「ぁあ」
 最も感じる最奥を突かれ、芳華は思わず声を上げた。法明が芳華の髪を愛おしげに撫でる。
「そろそろ少しは良くなってきたか?」
 これが?良くなる?ことなのかどうかは判らなかったけれど、確かに今までは痛みだけだった感覚の中に別のものが混じり始めていた。
 芳華の反応に勢いを得たように、法明の動きが烈しくなった。ますます固さと大きさを増した剛直で芳華の隘路を抜き差しする。その度に感じやすい内壁を強くこすられ、芳華は、あえかな声を上げた。
 その声はまるで自分のものとは思えず、別の女のもののようだ。法明の腰遣いがますます烈しくなり、芳華は彼に下から強く突き上げられ揺さぶられる。そんなことがかなり続いた後、亀頭の傘になった部分が彼女の最も感じやすい敏感になった膣壁を強く擦った。
「あっ、あーっ」
 これほど強い快感があるのかと思うほどの烈しい快感の波が芳華を襲い、彼女は生まれて初めての絶頂を迎えた。ほぼ同時に、法明の剛直もひときわ大きく膨らんで熱い飛沫を彼女の奥壁に撒き散らす。
「良かったよ、お前の中は最高に気持ちが良い」
 間近に迫った美麗な顔でそう囁かれ、芳華は真っ赤になった。
「もう、そんな恥ずかしいことを言わないで」
「相変わらずのお子さまだな、お前は」
 法明は笑いながら、芳華の乱れた髪を撫でる。その仕種がいつになく優しく思えるのは考え過ぎだろうか。
「痛い想いをさせて悪かったな。今夜はもう、ゆっくり寝め」
 労るように髪を梳きながら言われ、芳華は頷いた。
「おやすみなさい」
「次に目覚めたら、また抱くからな?」
「えっ」
 愕きに眼を見開くと、法明がいつもの彼らしい自信に満ちた笑みを浮かべた。
「朝、起き出すまでにもう一度、芳華を抱きたい」
「お、おやすみ」
 芳華は聞かなかったふりをして、慌てて薄い掛け衾(ふすま)を頭から引き被った。
「おい、寝たふりをしても駄目だぞ」
 法明の声はかすかに笑いを含んでいる。しかし、彼の言葉はまったくの冗談でなかったことはこの後、数時間後に証明されることになる。法明は夜明け前には眠り込んでいる芳華を起こして、芳華はまた彼に抱かれて甘い喘ぎ声を上げ続けたのだった。

 翌朝になった。芳華は自分で今まで降ろしていた髪を結い上げ、頭頂部で髷を作った。その髷に背後から法明が紫水晶の簪を挿してくれる。例の鳳凰に似た鳥を象った簪である。紫水晶といっても、極めて色の淡いもの(ラベンダーアメジスト)だ。
 これで芳華は法明の正式な妻となった。操国では良人となった男が新妻の髪に求婚の証として贈った簪を挿した時点で、正式な婚姻関係が発生する。これは国の法律でも定められていることだ。
 だが、芳華にはどうしても忘れ得ない気掛かりがあった。それはやはり、自分の素性―皇帝の貴妃という立場であった。貴妃は皇帝の正妻ではない。側室の最高位ではあっても、あくまでも妾妃の一人に過ぎないのである。
 それでも、芳華の他に誰一人として妃のいない現皇帝の後宮では、貴妃である芳華が唯一の皇帝の?妻?なのだ。そして皇帝という至高の地位にある男が本当は芳華の?良人?となる。それなのに、芳華は別の男と婚姻を結んでしまった。
 法明との関係は国法でも認められる正式な夫婦だ。しかし、一方で彼女は皇帝の妻でもある。一般民でさえ、重婚、つまり良人、或いは妻のいる身でまた別の誰かと婚姻関係を持てば、重婚罪、不義密通の姦通罪で重い処罰を受ける。重婚と姦通罪の最高刑は死刑だ―。