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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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「伊吹と瑞は、ここで連絡を待っていてくれ。詳しいことがわかるまで、調査は禁じるよ。先に休んでいていいからね」

伊吹を安心させるように言い、穂積は頭を撫でてくれた。

「・・・わかった」
「心配しなくていい。瑞もいてくれるからね」

準備を整えた穂積と紫暮は、タクシーで町へと降りていった。




柱時計の古めかしい音が響く座敷に、瑞は伊吹と二人で過ごしていた。テレビも本もないし、伊吹はさぞかし暇だろうと思っていたが、瑞の予想に反して、伊吹は資料を熟読している様子で暇そうには見えなかった。

(真面目なことだな)

まだほんの子どもなのに、と瑞は思う。同じような年の子らが遊んでいる間にも、伊吹はこうして役目を果たそうとしている。

(普通の家に生まれていれば・・・)

未来を考える余裕もないくらい精一杯遊んで。
誰かを好きになって恋をして。
いつか子どもをもうけて幸福な人生を過ごしていただろうに。

神の花婿。定められた運命。この幼い子どもの人生が、この先一族と村のために捧げられるのだ。

「ねえ瑞」
「・・・なに」

瑞の思考を遮ったのは、伊吹の声。

「瑞は、知ってるの?神末のお役目の花嫁を」