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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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「だから、引きずり込むのか・・・」

伊吹は呟くように言う。

あの廊下のある場所に来る死者は、自分に捧げられた命だから、もって行く。そういうことなのだろう。

「打ち捨てられてなお命を求め、祀ることを怠ったことを呪い続けるなんて、哀れな神さんやこと」

とにかく歴史が古すぎてわからないことが殆どらしいが、一連の騒動の原因と元凶は判明したようだ。

「どうするのですか、これから・・・」
「神さんとはいえ、ひとに仇なすものならば、須丸が黙ってませんえ。あの場所は封じてしまいます。おらんようになったもん、生贄にされたひとらの魂も、慰められるようにするつもりどす。いまお役目様と紫暮が、その算段をつけに依頼人と話しおうてますさかい。穂積様のお力なら大丈夫」

よかった、と伊吹は思う。あの虚ろな瞳のままさ迷う無念な魂たちが、浄化されるのならば。古い古い信仰の記録は残っておらず、死者の名前も何もわからない。それでも、慰められるのならば、よかった。苦しみから解放され、暗い床下から解き放たれることを、伊吹は祈る。

「それにしても伊吹はん、招魂を成功させて、解決の糸口を見つけはったとか。ほんに頼もしいこと」

唐突に褒められて、伊吹は顔を上げる。

「紫暮から聞いてますえ」
「そんな、俺なんか・・・」
「胸を張ってええのどす。伊吹はんがあそこで短刀を持ち帰れたことで、調査が一気に進展したとか。迅速に、犠牲も出さずに。伊吹はんのおかげどすなあ」

柔らかな笑みを浮かべる清香の隣で、絢世もまた眩しそうに笑っており、伊吹は頭をかく。