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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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瑞のことは、いいやつだと思う。気が合うし、一緒にいて楽しい。だけど決して、自分たちとは同じではないのだ。そう思わされる光景だった。

どれほど時間が過ぎたろう。ゆらめく女性の影が、びくりと波打つと同時に、瑞が立ち上がった。

「もう充分だ。来るぞ」

瑞の言葉を合図に穂積が印を解く。女性は消えうせ、がたがたと廊下の窓が鳴り出した。小刻みに空間が揺れている。何かが噴出してくる。床下から。

「床下からだ。這い上がってくる」

落ち着いた口調で穂積が言い終わると同時に、廊下の壁という壁が大きな音をたてて鳴りだした。

ダンダンダンダンダンッ!!!

無数の手が、力任せに叩いている。そんな激しい音。呑まれそうだ。紫暮は印を構えた。

「ウルッセーなァ」

面倒くさそうに瑞が言うが、紫暮はそれどころではない。ギシギシと床が軋み、揺れる。床下からこちらの足元を叩く、とてつもない力。これは怒りだ。怒り、憎悪、そういった強烈な激情を感じた。

パァンッ!!

突如大きな音が鳴ったかと思うと、廊下の淀みが音と一緒に弾け飛んだ。

「・・・お役目様、」

穂積が拍手を打ったのだ。そのすさまじい音が、邪悪なものを一瞬で吹き飛ばしてしまった。霊力のこもった音の力だ。