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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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彼岸の声



泥のように身体が重い。何度か覚醒した伊吹だが、身体を起こすことができず、布団の中にずぶずぶと沈んでは目覚めるということを繰り返していた。

(疲れてるんだな・・・招魂で、だいぶ消耗しちゃったんだ・・・)

まどろみの中を漂いながら、ぼんやりとした頭で考える。神隠しの廊下のこと、そこで対峙した女性の魂、穂積の優しい手のひら、紫暮との会話、そして瑞の表情。

(・・・もう起きないと・・・でも身体が動かない)

温かな泥の中を泳いでいるような、穏やかな心地よさに身をゆだね、伊吹は再びまどろみの中へ沈んでいく。

そのとき。

「・・・あ、」

額に、心地よい感触。そこからすうっと倦怠感が吸い込まれていき、指先から徐々に覚醒していく感覚。

「・・・絢世さん、」

目を開けると、こちらを覗き込む少女の姿が見えた。須丸絢世だ。どうしてここに、という疑問も、彼女のひんやりとした手のひらの感触に消えていく。

「伊吹さん、気分は?」
「平気・・・絢世さんは、どうしてここに・・・」

座敷には伊吹と絢世だけだ。周囲はすっかり夜。一日中眠っていたようだ。ぬるい風が吹き抜けていく。

「昨夜、紫暮さんから本家に連絡があって、伊吹さんが招魂をされたと聞きました。わたしもお役に立ちたくて、それで・・・」