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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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伊吹が座敷で目覚めたのは、すでに日付が変わる直前だった。瑞が帰宅していた穂積と紫暮から事情を聞かれているのを見て、伊吹は慌てて起き上がり、何があったのかを説明した。
廊下へと導いた女性のこと、彼女を招魂し、話を聞こうとしたこと。勿論、伊吹と瑞が諍いを起こしたことは話せなかった。そのため瑞は、紫暮からなぜ伊吹を一人にしたのかと問い詰められている。

「紫暮さん、悪いのは俺なんです・・・」
「しかし伊吹くん、」
「俺が言ったんです、瑞に。一人で行くから着いてくるなって。俺が禁じられていた単独行動をしたんです。瑞は関係ない」

言葉にしながら、伊吹はつらかった。「関係ない」と、嘘でも言わなくてはならない自分の言葉に傷ついてしまう。瑞の顔を見られない。あれから一言も口を利いていない。

「勝手をして申し訳ありません」

黙ってそばで聞いていた穂積に、伊吹は手をついて頭を下げた。厳命に背いた。命の危機だったかもしれない。こんな自分勝手、許されることではない。

「・・・お説教と、伊吹が託されたというこの短刀のこと、わしらが依頼人から聞いてきたこと。これらの検討は明日にしよう」

穂積は柔らかな声でそれだけ言うと、伊吹の髪をくしゃくしゃと撫でた。その温かな手に、伊吹は涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。

「とにかく風呂に行っておいで。血の匂いがしている。疲れもすべて、洗い流してしまうといい」