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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 続・神末家綺談3

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伊吹は駆け出した。どちらの扉でもいい。とにかくここから出る。

「・・・!」

目指す向こうから光がもれた。扉が少しずつ開いていく。

(あの、女のヒトだ)

先ほどの女性が、伊吹を導くように扉を開いていく。禍々しさを振り払うように扉を蹴り明け外に出た。そこには屋敷のごく普通の風景が広がっている。

「!」

大きな音をたて、伊吹の背中で扉が再び閉まる。
ここへ戻ってはいけない、わたしのようになってはいけない。彼女のそんな無言の声が、伊吹には聞こえた。

ゴトン、

扉の前に、何かが落ちてきた。

「これ・・・何?」

30センチほどの、錆びた金属器。短刀というのだろうか。柄の部分にはくすんでしまってはいるが、精巧な細工が施されている。

「・・・これ、」

これも、彼女が伊吹に託したのだろうか。廊下に巣食う闇を振り払うための手がかり。

(必ず、)

伊吹は短刀を拾い上げて瞑目する。

必ずお役目様が、あなたたちの魂を安らかな場所へ届けてくれるから。
あと少しだけ、待っていて。

緊張の糸が披露とともに切れ、伊吹はその場に倒れこんだ。