紺碧を待つ 神末家綺談3
「あの・・・絢世、さんも、いずれ清香さんの跡を継ぐんですか?」
なぜか敬語になってしまった。絢世は話しかけられたことに驚いたようだが、何とか笑顔を返してくれた。
「清香おばあさまの跡継ぎは、孫の中で一番優秀な紫暮さんがおなりでしょうけど・・・わたしも手助けしていけたらいいなって思っています」
声もかわいい、とジーンと聞き入ってしまう伊吹だ。このときめきは、まさか。熱くなる頬を両手で覆っていると、助手席から首だけこちらを向いてニヤニヤしている瑞と目が合った。
そうこうしているうちに、車は市街地を離れていく。辿り着いたそこには、同じ京都とは思えないような、静かで鄙びた光景が広がっていたのだった。
作品名:紺碧を待つ 神末家綺談3 作家名:ひなた眞白