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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 神末家綺談3

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しかし裏方の仕事とはいえ、須丸家もまた神末家同様強力な呪力を持つ家柄である。明治維新のおりに二つに分かれた両家は、もとを辿れば平安の世にあった陰陽師の家系、土御門(つちみかど)家の血を継いでいる。

現当主の須丸清香は勿論、時期当主候補たちも強力な力を持つ陰陽師であると、伊吹は聞いていた。

「お役目様、それから伊吹くん」

呼び止められて振り返ると、青年が立っていた。黒髪に短髪。背が高くて柔和な顔立ちをしている。眩しい白いシャツは清潔そうで、蒸し暑さを感じさせないいでたちだった。

「紫暮(しぐれ)くん。わざわざ迎えをありがとう」
「お待たせして申し訳ありません。伊吹くんとは・・・何年ぶりかな。須丸紫暮です。覚えてないかな」
「は、はあ・・・ごめんなさい・・・」
「彼は清香さんの一番上のお孫さんだ。もう高校を卒業したのだっけ」
「はい。今年からは大学に」
「紫暮か、でかくなったもンだ。おまえのオシメを変えてやったことが昨日のようだよ」
「やあ瑞。まだ生きていたのか」
「ご挨拶だな。ますます清香に似てきたネ、お前」
「おまえは誰に似たのかな、その無礼で下品なところ。髪の色なにそれ。増水したドブ川の色?」

瑞とも顔見知りらしい。皮肉の応酬をハラハラ見守っていた伊吹だが、紫暮の背後にもそもそと何かが動いているのを発見する。

「ああ、出ておいで絢世(あやせ)」

紫暮が前へと背中を押した。少女だった。伊吹と同じくらいの。