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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 神末家綺談3

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須丸のこどもたち



夏の京都はすさまじく暑い。そんなことを穂積から聞いてはいたが、駅の改札から出て日を浴びた神末伊吹(こうずえいぶき)は、体にからみつくようなべたついた暑さに眩暈を覚えた。

「あ、暑いね・・・息がしづらい・・・」

そんなことをもらすが、隣の穂積(ほづみ)も瑞(みず)も涼しい顔をしている。

「そうかな・・・伊吹は久しぶりだからかもしれんな」
「冬はもっと地獄だぞ、京都は」

穂積は和装で、きっちり足袋まで履いている。見ているほうが暑いくらいだ。瑞といえばシャツを羽織ったジーンズ姿だ。真っ赤なスニーカーを履いた瑞のミルクティー色の髪が、太陽の光を反射して光っている。

夏も盛り。山陰地方のとある村から、お役目である穂積に依頼がきたという。不可思議な現象を解決してほしいというその依頼に、今回は伊吹も同行することになった。穂積は二つ返事で快諾してくれ、伊吹はお役目の仕事を間近で見る機会を得たのだ。

本当のところ伊吹にとっては、お役目の仕事を見る、というよりも、瑞についてより知りたいからという意味合いが大きいのだが。

(瑞のことが、わかれば・・・)

もっともっと彼に近づけるかもしれない。
主従という変えられない関係が、変えられるかもしれない。信じあい、互いを尊敬し合っている、穂積と瑞のように。

「さて、須丸(すまる)から迎えが来ると清香(きよか)さんから聞いているが・・・」

駅を出て穂積があたりを見渡す。

依頼内容や詳しい話を聞くために、京都の須丸家に立ち寄ることになっている。神末にもたらされる依頼は、すべて須丸家経由だ。とるに足らない依頼ならば、須丸の息がかかった霊能者のもとへ届けられる。お役目でなければ解決不可能と判断された場合は、穂積が借り出されることになっている。

須丸とはいわば、ご案内窓口のような存在なのだ。