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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 神末家綺談3

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みし、みし、と静寂にこだまする足音。足跡が埃の中に残っている。つい最近消えたという三人の若者のものだろうか。

(消えた・・・)

足跡が、三人が煙のように消えてしまったという恐ろしさを、リアルに伊吹に伝えてくる。

「雨戸は外側からぴったりと閉められているし、この狭い廊下に隠れるスペースもありませんね」

廊下の中央で、向こう側から同じように歩いてきた瑞と紫暮と合流する。暗がりに互いの顔が見えないのが怖くて、伊吹は穂積の手を絶対に離さなかった。

「本当に、煙のように消えたとしか形容できないわけか」

瑞がそう言って天井を仰いだ。

「なンかいるよねェ。すごいこっち見てンの」

瑞の言葉に、黙り込む一同。伊吹だって、ずっと感じている。廊下に立ち入ったそのときから。
これは視線だ。鋭く睨みつけるような視線ではなく、虚ろな、ぼんやりとした視線。誰かがこちらを見ている。様子を伺っている。だけど、その視線を感じる先が異様過ぎて、怖くて、伊吹は口にできなかった。

「どこから感じるか、せェの、で指差し確認ね。せェの、」

瑞の掛け声に合わせて一同が指を指した場所は。

「やっぱり・・・」

全員が床を指していた。足元を。

「下からだ。間違いないな」

紫暮が座り込んで懐中電灯を照らす。舞い上がった埃がきらきら光るのが見えた。勿論廊下に、床下へもぐりこめるような入り口はない。

「担がれたのかもしれませんね、舘林さんに。二十人や三十人なんてもんじゃない。百人、もっとそれ以上。それが俺たちを見ている」