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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 神末家綺談3

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穂積が静かな口調で紫暮の言葉を引き継ぐ。

「虚ろで、ぽっかりとした、何の意思も感じさせない視線だ。これはこの廊下で消えたひとたちのものだろう。だとすればもう、誰も生きていない」

誰も生きていない・・・。その響きに伊吹はぞっとする。床下へ引きずり込まれていくひとたち・・・。誰が、何のためにそんなことをするのだ。

「消えた者が、新しい犠牲者を引っ張っているのかな。そして延々とひとが消えていく・・・」
「違う」

紫暮の言葉を、ばっさりと否定したのは瑞だ。懐中電灯の下で見る瑞の白い顔は、いつもと違って険しい。

「床下へ引きずり込むのは、引っ張られた者たちの意思じゃない。引っ張られた者たちの視線は力のない視線だ。諦めきっているというのかな・・・。床下へ引きずり込むモノは、もっと別の、何か大きな意思を持った力だと思う。なんだろうな、これは。死者の怨念とか、そういうたぐいのものではない」

人間ではない瑞には、わかるのだろう。

「それって・・・前に奥沢で俺が会った、夜の中に住むモノと同じような?」

あれは死者ではなかった。伊吹の言葉に、瑞は首を振る。

「違う。あれらと同じようにこちら側のものではないことは確かだが、おまえが出会ったような、ただそこに存在するものとは違う。ここにいるのは、明確に、生きている者を引きずり込んでやろうという意思があるのだと思う」

ここに何がいるのかはっきりさせようか、と穂積が言った。

「わしと紫暮くんは屋敷の中を調べてみよう。封鎖された二階三階を含めて。伊吹と瑞は家の周辺に何かヒントはないか探ってくれ。ここにいる何者かの正体がわかれば、解決できるかもしれない」

だけど、と彼は念を押す。

「日没前には、必ず座敷に戻ること、一人にはなるなよ、絶対に」

こうして調査が始まった。