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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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紺碧を待つ 神末家綺談3

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ここには得体の知れないものがいて、ひとを闇へと引きずり込む。それをいま、伊吹はリアルに肌で感じることができた。


穂積と紫暮が母屋の至るところに結界を張っている間、伊吹は瑞とともに台所に立っていた。館林が言ったように、業務用の冷蔵庫には大量の食材が用意されており、食べるものには困ることはなさそうだった。

「おい味噌汁担当、ほんだしなンか使ったら許さんからな」
「つ、使わないよ!ちゃんと昆布で出汁とるよ!」

うるさい料理番め、と伊吹は口を尖らせる。鉄人なみの腕を持つ瑞は、仕込みにも食材にもこだわるから、一緒に台所に立つとものすごく面倒くさいのだ。一緒に料理して文句を言われないのは、瑞に料理を教えた祖母の佐里だけだろう。

「伊吹、俺なべ見てるから皿だしてきて」
「はいはい」

巨大な食器棚から皿を取り出そうと背伸びをしたとき、背後に気配を感じた。
瑞がそばにきたのだと思った。だけど振り返ると誰もいない。瑞は離れたコンロで鍋に蓋をしている。

「・・・あれ?」
「どうした、伊吹」

何だろう。変な感じがする。慌てて瑞のそばに戻る。
誰かいる。見えない何かが動き回っている。それは予感ではなく確信だった。