嘘でもいいよ vol.20 悪事
嘘でもいいよ vol.6
<麗ちゃんが壊れちゃいそうだったから…>
そんな言葉信じられるわけがなかった。
私が考えたことはひとつ。
突然消えて、私がどんな行動をとるのか…。
危ない女だったら知らないふりしてこのまま切り捨てよう。
私が何もできるわけがない。
FBでしか連絡はとれないんだ。
私は自分が壊れちゃうほど、彼のことを
好きになっていたんだろうか…。
毎日の時間の中で、彼とのチャットの時間を
占める割合が多くて、その時間が消えた途端
なんだか、気が抜けた炭酸のようになってしまったけれど
好きっていうのとは、少し違うような気がした。
私は、それとなく自分の家庭は壊す気はないし
旦那とも死に別れ以外、別れることは考えてないと
伝えた。
私たちは、また毎日チャットで話すことをはじめてしまった。
食事のこと、実家のこと、若い時のこと
SEXのこと。
男は大体、若い頃の武勇伝を話したがるが
彼は照れ屋だったから、あまり自慢話もしなかった。
奥さんの浮気の話や、彼が家庭で邪険にされている話を
聞くたび、同情して、悲しくなって
抱きしめたくなった。
会うつもりはなかったけれど、SEXの話をする都度
私は自分の顔や、体のシワに嫌悪感を抱くようになった。
私は、ずいぶん前から、日記がわりにブログを書いて公開していた。
ブロ友の定年間近の館山さんが、私が悩んでいることに気がついて
メールをくれたり、コメントの回数も多くなった。
<最近、お悩みのようだけど…何かあった?>
<単刀直入に聞きますけど、男性って、奥さんでもない
50歳を過ぎた女性をだけますか?>
<抱きますよ。足の指からしゃぶってあげます。お腹のたるみも
体の一本一本のシワまで、愛しいですよ。>
私は、全ての男性が館山さんの考えと同じとは思わなかったが
おかげで少し救われた。
館山さんは、毎日、私のブログにコメントを残してくれ、
私も返した。
面倒見の良い彼には沢山のブロ友がいたが
ある日、感じの良い女性が私のブログにコメントをつけてくれ、
何故か、彼女も私のことを心配してメールをくれた。
彼女は館山さんの友達だと名乗ってきて、
私に、彼と頑張ってねと、まったく見当違いな
応援メールをよこした。
勘の良い私は、彼女は彼のことが好きなのかな?
勘違いしたままでは彼女に申し訳ないし、
私にメールをすることに、相当な勇気がいたのではないかなと
思った。
<館山さんは、私のお悩み相談にのってくれていただけですよ~
もしかして…彼のこと…?>
すると、彼女から驚く返事が返ってきた。
作品名:嘘でもいいよ vol.20 悪事 作家名:momo