嘘でもいいよ vol.20 悪事
嘘でもいいよ vol.12
それから数日後、予約していたスマホを手に入れた。
彼を驚かそう…。
スマホからインターネットでFBに
ログインすれば、操作方法は変わらないので
すぐにスマホでチャットすることができた。
平日の午後、ついに彼に再会するかもしれない日がやってきた。
何もないとは思うが、とりあえずお洒落な下着を身に着けた。
彼が普段休憩するという、あの例の公園で
待つ予定だ。
<純君、今 渋谷なんだけど、大通り公園で
1時間くらい待ってるから、ちょっとだけ会える?>
<わかった>
お互いに写真は見てるし、毎日チャットで話してはいるが
なんといっても、高校を卒業して以来だ。
気合を入れて出て来たものの、ドキドキは止まらない。
そして、もう一つのドキドキは旦那に見つからないか…。
いくらだって言い訳はできるが、何しろ自分に下心のある男性に
外出して会うというのは結婚してから一度もない。
私は、公園の西側の入り口で公園を見渡すように立って
彼を探していた。
10分も待つことなく、彼が前から歩いてくると
恥ずかしくて、恥ずかしくて、
彼の声は聞き取れなくって…両手で彼の手をギュッと包み込んで
「じゃあね」と言ってしまった。
ちょっとだけ、会いに寄ったんだよ。みたいに…。
恥ずかしいことが恥ずかしくって。
ものの1分だった。
彼と別れてからチャットで話しかけた。
<今、メトロの改札。忙しいのにありがと>
<メトロの改札?オレ、今通ったぞ…?>
<スマホ来たんだね?>
<あ、言い忘れた(笑)>
<ハチ公の出口側の珈琲館わかる?>
<うん>
<ちょっとお茶する時間ある?>
<うん、今行くね>
窓際のカウンター席に隣同士で座って
彼の声を聞く。
低くて静かな声だ。
もう卒業写真の彼じゃない。
私の胸の高鳴りは、彼に会っていることと
やはり、誰かに会わないか…心配な気持ちで
キョロキョロが止まらなかった。
30分ほど話したがスマホの話で終わった。
「先に行って」
「うん、じゃまたね、あ…名刺」
彼が名刺を出そうとバッグをゴソゴソし出した
「名刺?いらないよぉ~」
「いらない?」
「だって、電話番号も教え合ってないのに…」
私は笑い、彼も笑った。
「じゃね」
彼と高校生の時に付き合いたかったとは言わないが
せめて、若い時に再会したかった…。
私はそれから先、何度もそう思うことになった。
<ただいま>
<お疲れ様でした~>
<レイちゃん、帰ってから寝たでしょ?>
<なんでもわかっちゃうね(笑)>
<(笑)>
<めっちゃドキドキして、あまり話せなかった>
<だね>
<純君にあったのと…>
<そうそう、挙動不審な女性が一人…>
<キョドってた!?>
<かなり(笑)>
<だって…誰かに見られてそうで>
<心ここにあらずだったよ>
<あ、キスするの忘れた>
<レイちゃんは口だけだけなんだから>
<だって 奥の席じゃないから…>
<あそこしか空いてなかったの>
<じゃ、次は奥の席ね!>
<おっぱい触らせてくれる?>
<いいよ~キスもしようね>
<レイちゃん、おっぱい見せて>
<無理だよ~>
<スマホにしたんだから、簡単に撮れるでしょ?>
<むり~>
<レイちゃんに 入れたい>
<いいよ>
<レイちゃんパンツ脱いでみて>
<恥ずかしいよぉ~>
私たちは、一晩中、甘い言葉で戯れ
前戯も、後戯もちゃとした。
喘ぎ声も録音して聴かせあった。
彼は何度も聞いた
<気持ちい?>
<いく?>って。
私たちに思い出はまだ何もなかったけど
彼の指が弾きだす言葉は忘れたくないし
多分、こんな恋愛の始まり、もうすることは
無いだろうと思った。
作品名:嘘でもいいよ vol.20 悪事 作家名:momo