嘘でもいいよ vol.20 悪事
嘘でもいいよ vol.11
お互いに分かり合っていると思っていた。
彼と再会する前に、別れることになるなんて
あの時間は何だったんだろう…。
馬鹿らしく思えば思うほど
哀しみが消えていく。
寂しいと、思えば思うほど
涙は止まらない。
私は馬鹿らしく思うことにした。
笑っちゃう…。
馬鹿らしい…って。
旦那と二人で夕食を済ませ、
私は自分の部屋でベッドに寝っころがり、
さっき旦那に涙の説明をした
「ホスピス」のエッセイ本をパラパラとめくった。
別れ話がまとまったと思ったら
意外にすっきりした。
仕事のメールチェックをしてから寝ようと
PCを立ち上げると、純君からメッセージが来ていた。
<レイちゃん、オレはどこにも行かないよ
レイちゃんはいつもオレの中にいるよ>
私のログインを待っていたのだろう。
すぐに彼もログインしてきた。
既に私は涙でパソコンの画面が滲んで
何も打つことができずにいた。
<スマホだってちゃんと教えてあげるからね>
私は、大泣きしているスタンプを送信した。
<レイちゃん、もう泣かないで>
もう一度、スタンプを送信した。
言葉が見つからない。
<レイちゃん、今日は疲れたでしょ、良く寝て、また明日ね>
<優しくしないで…つらくなるから>
<サヨナラなんて、いってないでしょ?>
サヨナラなんて言ってない?…。
彼は私に自分にあわせろといいたいのか。
良くわからないけど彼が続けた。
<急いで、別れを決めなくてもいいんじゃない?>と。
私は一瞬のうちに思った。
嫌いになってから…別れよう。
私はズルイ女だった。
作品名:嘘でもいいよ vol.20 悪事 作家名:momo