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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの4

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軽い気持ちにしては、関わろうとしている物は得たいの知れないものだ。

「ごめん。あまり考えて無かった。」
正直な回答だった。
「マジかよ…。」
優太の発言に知秋は目を丸くすると、おでこに手を乗せて、視線を落とした。

人間でない姿を見られて傷ついてる自分とは違い、目の前の少年は何て能天気なんだろうかと知秋は目眩がした。

「ただ…。」
「ただ?」

「このままじゃいけないと思った。」
「このままでいいと思うけど…関わってもいい事無いと思うよ。得たいが知れないもんに関わるのは危険だよ。」

最後の言葉は震えていた。

「あたし、諦めるから…。」

普通に過ごすことを。

そこまで言えなくて、怖くて最後まで言えなくて、知秋は言葉を切った。
その後も断片的に言葉を紡ぐ。

「あたしが往生際悪かったから、こんな惨めな目にあったんだ。」

自分の正体を知った小3の夏に諦めるべきだった。身体の作りから違うのに普通の女の子として生活するのは俄然無理な話だったんだ。

なのに部外者の人間に見られる事態になるまで、知秋は人間として過ごす事を捨てきれなかった。

2度と戻せない夏の日を思い出して、知秋は涙をまたひとつ溢した。

あの時までは世界はキラキラと輝いて見えた。

あの頃に戻りたい。
知秋は唇を噛み締めた。