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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの4

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優太は、人気の無くなった旧校舎の廊下で知秋を見つけた。うな垂れて、小さくうずくまっている姿がとても弱々しく見える。赤い髪が顔にかかって、泣いている様子だった。
「知秋…。」
優太が話し掛けると、知秋は優太から逃れようとした。しかし、ダポダポしたスカートに足を取られ、うまく走れない。 知秋の体は小学校低~中学年位の背丈に縮んでいた。
いっそスカートを脱いでしまえば動きやすかったのかもしれない。しかし、知秋にはそれが出来なかった。階段の途中まで来たところで、諦めて、振り返った。

「ほっといてよ!助けようとか思い違いをしないで!助けられる程、私はかわいそうじゃない!」
知秋は服をしっかり固定すると、きっと優太を睨んだ。

何も知らない奴に同情されるのは悔しかった。知秋が受けた悲しみを理解できる人はいないのだから…。

あまりの形相に優太は一歩下がる。

しばらく、2人はどうすることも出来ず、途方にくれていた。
前にも後ろにも進むことが出来ない。
ただただ、2人とも途方にくれた。
今日1日を振り返って、何がこんな結果を招いたのか、思い返していた。

いくら思い出しても、回避する術が見付からなかった。

「別に助けようとか思ったわけじゃない。」
先に口を開いたのは優太だった。

「じゃあ、何?」
知秋は優太を見た。
「うーん。」
優太は、困ったような顔をすると視線を階段に落とした。

思わず追いかけてしまったのが正直なところだった。

ほっておくと知秋が更に傷付いてしまうような気がして、優太は知秋を追ってきた。

それはつまり…

助けたかったのかも知れなかった。
助けられるわけがないのに。

その助けるは、少しでも寂しい思いをさせないという消極的なものに違いなかった。

しかも、昨日今日知り合った人間に対しての、モラルに突き動かされただけの軽い気持ちだった。