そらのわすれもの4
そのまま、しゃがみこみ、背中を丸める。
夕暮れ時だった。
日が沈みかけ、少し階段が薄暗くなる。
知秋のすすり泣く声だけが廊下に響いた。
段々と知秋の髪は元のチョコレート色に戻り、真っ直ぐに伸びた。背は高校生らしいサイズへと変わった。
優太は何も言わずにそれを眺め、知秋の隣に座る。ひんやりとした階段の感触がお尻に伝わった。肩には知秋の温かい気配がする。
「ごめん…。お願い…。」
知秋が突然話し出した 。
「ん…?知秋の正体は黙っているけど…。」
優太は返した。
「いや…そうじゃなくて…。日が暮れると知春に交代しないといけないから、その…。」
知秋はポテッと優太の肩に寄りかかった。
「意識が遠くて…眠い…。保健室まで持たないから、肩貸して。」
程なくすると知秋の寝息が聞こえてきた。
意外に人懐こい奴なのかも知れないなと優太は思い、失笑した。