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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの4

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次に目が覚めた知秋は確かに知春だった。
「優太君!」
知春は目を開いて優太の姿を見ると少し驚いて、それから、嬉しそうに微笑んだ。
「知秋ちゃんと一緒にいてくれたの?」
「うん。偶然。」
「ありがとう。目を覚ました時に誰かがいるっていいね。」
本当に、とても嬉しそうに手を口許で重ねて笑っている。

ニコニコと笑う知春を見て、優太はもう逃げられないなと確信した。

これで知春にも何も知らないふりを出来なくなった。
これで突き放すのだとしたら、2人を存在ごと否定することになる。

「知春ちゃんなんだよな…。」
「うん!」
知春は軽やかに先に立ち上がり、嬉しそうに座っている優太の方に身をかがめ、手を繋ぎたそうに差し出した。
「優太君!今日、また遊ぼうよ!一緒にご飯食べよう!」
優太は複雑そうに眉を動かすと頷いた。
手を握ることには抵抗を感じたので、優太は知春の腕を掴んで立ち上がった。
「優太君の好きな食べ物はカレーライスだったよね!」
「ごめん。それは小学生の頃…。」
「えっ、そうなの?」
さっきまでの緊迫した空気は一切ない。
さっきまでの知秋が浮かべていた辛そうな表情は一切残ってない。
知春はきょとんとした後に無邪気に笑った。
「じゃあ、新しく覚えなくちゃね!」
ポジティヴすぎる発言だった。

琴恵はやっと旧校舎に辿りついて、知春と優太を見つけた。
「知秋を竜也から奪うチャンスだったのに…。意外な展開ね。」
そうつぶやくと知春と優太に話しかけることも無く、踵を返す。
「まあ、いいわ…。ざまあみろ竜也兄さん。」
精一杯の醜い顔をすると琴恵は旧校舎を後にした。