覇王伝__蒼剣の舞い2
「七年前、俺はこれが気に入らなかった。蒼王になる気なんざなかったし、いきなり貴方は覇王陛下の息子ですときた。更に蒼剣だ。ぶざけるなと云う気分だったんだぜ」
「……」
「結果、俺に厄介事を背負わせた一番の男は、この覇王だ。自分と同じ道を辿らせようと云うんだからな。まったく迷惑な話だぜ。無視する事もできやしねぇ」
「覇王陛下は喜んでおられましょう。遺志を継がれ、四国の為に剣を振るう男がご自分の御子にいられて。貴方の性格は知り得なかったでしょうが」
「狼靖」
「はい」
「あんたにも、厄介事を背負ってもらうぜ」
「何なりと」
「やっぱり、覚悟決めてるんだな」
___やはり、似ておられる。
清雅の暗い表情を見て、狼靖は思った。
前覇王が、寂しそうな表情を見せたのと同じ顔だ。
だからこそ、彼は決めたのだ。
新しい時代と、新覇王誕生に全てを委ねる覚悟はもう出来ている。
「残酷な叔父貴どのだ」
清雅は、それ以上何も云わず、父である覇王の肖像画を見上げていた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い2 作家名:斑鳩青藍