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覇王伝__蒼剣の舞い2

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 央軌とドクトール・ヴィラー、前覇王と共に剣を振るった勇将。
 その二人が、蒼国王城内で十数年ぶりに再会した。
 そこに更に、狼靖も加わって。
 「ある意味、凄いね」
 「そうなんですか?」
 「そりゃぁね。あの三人、四国統一の面々じゃん。偶然もここまで来ると怖いね」
 焔の云うことは尤もだと、拓海は思う。
 父・狼靖はともかく、央軌とドクトール・ヴィラーの二人は十数年経って顔を合わせるのだから。しかも嘗て仕えていた男の息子の元で。
 覇王と見込んだ男の前に集い、剣を振るうと決めた当時の三人。
 清雅を見た二人は、簡単に膝を折った。
 狼靖が七年前したように。
 「こうなったら、覇王になるしかないわね。誰かが四国を纏めないといけないのよ。お父さまがしたようにね。あの二人に任せたらとんでもない事になるわ。でないと、いつまでも厄介事が続くわね」
 「嫌味な言い方だな」
 「私だって面倒な事は嫌よ。よりにもよって、義兄と義弟が四国制覇に躍起になって、紅華もいつ侵略されるやら。といって話し合いの通じる相手ではないわ。力で何とかしようというタイプはさすが兄弟ね。お父さまの時代とは違って、厄介よ」
 「清雅さま、黒抄、白碧を倒さなくてはなりません」
 「狼靖、あんたが心配しているのは俺に兄弟の情があるんじゃないか、だろう?そんなモンはねぇよ。向こうだって初めからないだろうぜ。あいつらに会ったのは一度だけだったし、覇王には会ったことすらない。身内と呼べるのは、おふくろと___、あんただけだ」
「清雅さま…」
 七年前、途絶えてしまったと思っていた叔父と甥の関係。
 恨まれている、狼靖は清雅を蒼王に担ぎ玄武を一時退いたときからずっと負い目を何処かで感じてきた。
 あの時から、叔父・甥ではなく、主従関係になり、清雅の何処か冷たい視線。
 だが、清雅はもう彼を許していた。
 最も血の繋がりが深い前覇王や、黒狼、聖連、凌姫よりも側にいたのは狼靖なのだと。
 「せっかくの感動シーンだけど、清雅これからどうするの?」
 「遺産を探すしかねぇだろうな」
 「全ての謎はやっばりそれね」
 凌姫も、遺産を探すしかないと結論に至った。
 
 蒼天下の王城広場に、奇声が響く。
 「おりゃぁっ!!」
 「甘いっ」
 キンッと、剣が弾き飛ばされ男が転ぶ。