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覇王伝__蒼剣の舞い2

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 紅華国主、紅王・凌姫がこっそりと国を離れる時は、剣客姿になる。それは黒抄や白碧に悟られない為で、かなりの効をなしている。
 紅王となり、蒼国に来るようになってから考えた手だが、一国の王が国を離れると云う事はそれだけ重要な事が出来した時だろう。
 わざわざ口喧嘩をするために来たとは、清雅も思っていない。
 それも、決まって面倒な厄介事を土産に。
 「ほんと、可愛げない男。どうして私ってこうもいい兄弟に恵まれないのかしら」
 「都合の良い時だけ、兄弟扱いしやがって」
 「あらぁ、私はいつも弟だと思ってるわよ。悪いのは貴方よ、清雅」
 側にいた拓海が思わず噴き出しそうになった。
 さすが、清雅の姉だと。
 「凌姫さま、今回のお越しは?」
 「忘れる所だったわ、狼靖。今日は一人じゃないのよ。入ってらっしゃい」
 遅れて入って来た人物に、狼靖が驚きの声を上げる。
 「___央軌どの…!?」