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覇王伝__蒼剣の舞い2

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 「その公爵閣下はよせ、今の吾は唯の剣客だよ…。久しぶりだな、星宿。未だ子供だったお前が、立派になったものだ。しかも四獣聖・白虎とはな」
 「どうして蒼国に」
 「お前と同じかな」
 「え…」
 「この目で確かめたくなったのさ。蒼剣が選んだという男を。ま、お前が膝を折ったとなると相当な人物らしいな。覇王陛下が亡くなられて、覇王家もなき今、四獣聖が蒼国で復活と聞いて確かめんわけにはいかんだろう」
 ドクトール・ヴィラーは、そう云って星宿を見つめ返した。

 部屋の中に、溜息が漏れる。
 眉を寄せ、いかにも迷惑そうな顔は訪問者まで似た表情にさせた。
 「失礼な男ね」
 「俺の勘が、あんたは招かざる客だと告げている」
 「貴方が敵なら、即引き裂いてるわ」
 「あんただけなら相手にしてもいいが、紅華軍までとなるとごめんだな」
 「安心しなさい。うちは優しいわよ。貴方が倒れたら次の王と共にやっていくから。覇王家だの、貴族だの関係なく王に相応しい人間は他にもいてよ」
 「喧嘩を売りに来たのか?あんたは」
 未だに嫌そうな表情をする男に、訪問者の女性は話を続けた。
 もちろん、喧嘩をするつもりでも、本気でこの国の主を倒そうとも思っていない。
 憎まれ口は、顔を合わせればいつもの事だ。
 「白碧に捕まったそうね」
 「遠回しな言い方だな。もう知ってるんだろう?奴の目的を、凌姫」
 「ドラゴンの遺産___でしょ。なら話は早くて助かるわ」
 「だから、あんたは招かざる客なんだ」
 清雅は、勘が当たったと、更に溜息をついた。